10月31日(土)、GOTOJI Compassで毎月開いているトークイベント「THE CHALLENGER」の第5回を開催しました。今回は企画者である私自身が、初めて「ニューチャレンジャー」として登壇しました。
第1部では、直方で不動産会社を営む須藤さん(株式会社アイビーホーム代表)が、初めて人前でご自身の人生を語ってくださいました。お父さま・お母さまとの別れをきっかけに「後悔しない人生を」と起業を決めた歩みと、「強い経営者にならなくてもいい、自分は自分として」という言葉が心に残る30分でした。須藤さん、本当にありがとうございました。
■ 田川の教育の「いま」
第2部の私の発表は、少し重たい数字の話から始めました。
- 全国学力調査:全国を100とすると、田川は中学数学の応用問題で約81
- 子どもの相対的貧困:全国の約7人に1人に対し、田川は約4.5人に1人
- 不登校率:全国の約1.67倍
- 大学進学率:全国約51%に対し、田川地区は約31%
- 生活保護率は全国の約3.7倍、完全失業率も全国上位
私が特に課題だと感じているのは、子どもたちのまわりに「働いている大人」「学ぶ意味を見せてくれる大人」というロールモデルが少ないことです。テストの点数の手前にある「何のために学ぶのか」が見えにくい環境があります。そして教育に関心のある家庭ほど地域を離れ、地域がさらに弱っていく。そんな負の連鎖が起きています。
■ 大人の都合で、学びの場が消えていく
私は7〜8年にわたり、県と田川8市町村が実行委員会をつくって実施する中学生向けの3泊4日の合宿「田川飛翔塾」の運営に関わってきました。参加した子が大学生スタッフとして戻ってきてくれる、いい循環が生まれていました。しかし予算の限界と行政の方針転換で、昨年度で事業が終わりました。
誰かを責めたいわけではありません。ただ、子どもたちの学ぶ環境が大人の都合ひとつで消えてしまう。そのことを目の当たりにしました。「生まれた場所で人生が決まらない社会をつくりたい」という思いが、そこからどんどん強くなっています。
■ 一般財団法人「田川教育振興財団」をつくる
そこで今挑戦しているのが、田川教育振興財団の設立です。行政の予算や方針に左右されず、地域の子どもたちを民間の力でも育てていく仕組みをつくりたいと考えています。
まずは、できることからはじめます。
- 田川飛翔塾のような学びの場を復活させる
- 先生たちの「こんな授業をやってみたい」を資金面で応援する(今は一教員の思いが予算化されることはほぼありません)
- 生徒たちの探究活動など「やってみたい」を応援する
- 独自の奨学金をつくる(お金の問題で進学をあきらめる生徒をたくさん見てきました)
その先に描いているのが、オルタナティブスクールです。
田川では中学校の統合が進み、今は公立の3校しか選択肢がありません。そのため、学ぶ環境を求めて飯塚・行橋・福岡市などへ子どもを出す家庭も少なくありません。
不登校の子のためだけでなく、「おもしろい学びを選びたい」子が通える場所をつくりたい。空き店舗を教室に使えば、立派な校舎はいりません。家庭の経済状況に関係なく選べるように、財団で支える。そんな構想です。
■ クラウドファンディング挑戦中です
財団の設立には、使ってはいけない「基本財産」として300万円が必要です。運営費50万円とあわせて目標は350万円で、当日時点で172万円のご支援をいただいています。達成しても、ようやくスタートラインに立てるだけです。
会場の皆さんには、次の3つをお願いしました。
- まずは「いいね」を押してください(ランキングで上位に表示されやすくなります)
- 口コミやチラシでこの話を広めてください
- そしてご支援いただけたら、とてもうれしいです
田川で起きていることは、10年後にはどの地域でも起こりうると思っています。学校だけでできることには限界があります。地域の子どもたちに今から投資し、子どもと地域がつながる未来をつくる。これはそのための「社会的な実験」でもあります。
■ 会場との対話から
質疑では、いくつも鋭い問いをいただきました。
- なぜ田川に?:私は教員免許を持たずに、Teach For Japanを通じて教壇に立ちました。派遣先は選べず、たまたま来たのが田川で、もう9年になります。
- 続ける原動力は?:目の前の子たちが、想像以上に成長してくれたこと。教育はすぐに成果が出るものではありませんが、それに応えようとしてくれる子たちが近くにいることが、この地域の希望だと思っています。
- 先生たちの関わりは?:今年のたがわ教育フェスには約120人が参加してくれましたが、そのうち田川の先生は5人ほどでした。若い先生の定着の難しさも含め、学校現場には余裕がありません。だからこそ、学校の外から支える仕組みが必要だと感じています。
- 行政との関係は?:財団は行政と対立するものではありません。公立だからこそできないことを、こちらで引き受けて一緒にやっていきたいと考えています。
- なぜそこまで能動的に動けるの?:大学時代にサークルを立ち上げた経験から、「やればできる」と思えるようになりました。アメリカで、誰に言われるでもなく自分たちで楽しそうに何かを始める人たちを間近で見た影響も大きいです。だからこそ田川にも、挑戦する大人が身近にいる環境をつくりたいと考えています。THE CHALLENGERも、まさにその一つです。
■ おわりに
「挑戦する人が育つ街に」という想いではじめたTHE CHALLENGERの舞台に、自分が立つ日が来るとは思っていませんでした。話してみて、一緒にこの挑戦をしてくれる仲間がもっと増えたらうれしいと、改めて感じています。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
次回のTHE CHALLENGER #6は11月14日(土)に開催予定です。ぜひ遊びに来てください。