宮里大八国際交流基金の2026年バリ島海外派遣も、9日目を迎えました。
今回の派遣も、いよいよ終盤です。
今日は、ドリーマーたちにとって、ホームステイ先の家族と一緒に過ごす最後の一日、そして最後の夜となりました。
一方、その頃私は、台風の影響によってキャンセルとなった帰国便への対応に追われていました。
結果として、すべての調整を終えるまでにかかった時間は、約6時間。
今日は、子どもたちが経験した「ホームステイの最後の一日」と、その裏側で起きていた出来事について残しておきたいと思います。
「観光」ではなく、家族と暮らす
今回のホームステイでは、ドリーマーたちは単にバリ島を訪れる観光客として過ごしたわけではありません。
ホストファミリーの家で寝起きし、一緒に食事をし、家族の日常の中に入りながら生活してきました。
そして、地域の文化にも触れる機会をいただきました。
写真を見ると、バリの伝統的な衣装や装飾品に触れたり、ホストファミリーと一緒に地域の行事に参加したりしている様子が伝わってきます。
現地の衣装を身につけ、地域の人たちと同じ場所に立つ。
これは、ホテルに宿泊して観光地を巡る旅だけでは、なかなか経験できないことだと思います。
文化について「説明を聞く」のではなく、実際にその文化の中に入ってみる。
今回のホームステイで大切にしたかったことの一つです。
言葉が十分に通じなくても、一緒に暮らせる
今回のホームステイでは、日本語や英語だけに頼ることができない環境で過ごしました。
言葉が十分に通じないからこそ、表情を見たり、身振り手振りを使ったり、相手が何を伝えようとしているのかを考えたりする必要があります。
最初は戸惑うこともあったと思います。
それでも、数日間一緒に生活していると、少しずつ距離が縮まっていきます。
写真に写るホストファミリーとの表情を見ていると、言葉だけではないコミュニケーションが生まれていたのではないかと感じます。
海外に行く意味は、英語を話せるようになることだけではありません。
自分とは違う文化、違う習慣、違う言葉の中に身を置き、それでも人と関係をつくっていく。
その経験そのものが、子どもたちのこれからの人生のどこかで生きてくるのではないかと思っています。
ホストファミリーと過ごす最後の夜
そんなホームステイも、今夜が最後です。
数日前までは知らなかった人たちの家に入り、その家族と一緒に生活する。
最初は緊張もあったでしょう。
食事の違い、生活習慣の違い、言葉の違い。
沖縄では当たり前だったことが、ここでは当たり前ではない。
そんな小さな違いの連続だったと思います。
しかし、その違いを経験することこそ、海外へ出る大きな意味の一つです。
明日、ホストファミリーとお別れします。
そのとき、2人がどんな気持ちになるのか。
そして沖縄へ戻ったあと、この時間をどのように思い出すのか。
すぐには答えが出ないかもしれません。
数年後、あるいはもっと先になって、「あのときバリ島で過ごした時間には、こんな意味があったんだ」と気づくこともあると思います。
その頃、私はパソコンの前で……
一方、ドリーマーたちがホストファミリーとの最後の時間を過ごしている頃、私は別の対応に追われていました。
台風の影響によって、予定していた帰国便がキャンセルになったためです。
航空会社のチャットエージェントとのやり取り。
代替便への変更。
追加料金の支払い。
新しい旅程の確認。
延泊するホテルの調整。
そして、それに伴う今後の日程の組み直し。
一つ解決すると、また次の確認事項が出てきます。
特に航空会社のチャットでのやり取りは長時間に及び、こちらの状況を説明し、条件を確認しながら、一つひとつ手続きを進めなければなりませんでした。
正直に言えば、本当に疲れました。
すべての対応を終えるまで、約6時間
気がつけば、対応を始めてから約6時間が経っていました。
海外に未成年の子どもたちを連れてきている以上、「疲れたから明日にしよう」というわけにはいきません。
帰国できる便を確保すること。
それまで安全に滞在できる場所を確保すること。
保護者の皆さんが安心できる状況をつくること。
そして、何より子どもたちを無事に沖縄まで連れて帰ること。
これらも、海外派遣を実施する側の大切な役割です。
SNSや写真に残るのは、子どもたちが笑っている姿や、バリ島でさまざまなことに挑戦している場面が中心です。
しかし、その時間を支える裏側には、こうした対応もあります。
計画通りにいかないことも含めて、海外に行くということなのだと思います。
トラブルも含めて「旅」
振り返ってみると、今回の派遣では、出発からさまざまな出来事がありました。
海外へ出れば、日本と同じようにはいかないことがあります。
予定していた飛行機が飛ばないこともある。
言葉が通じないこともある。
生活習慣が違うこともある。
思い通りにならないこともある。
でも、だからこそ、自分で考える力や、誰かに助けを求める力、状況に合わせて行動を変える力が必要になります。
「予定通りにいかなかったから失敗」ではありません。
予定外のことが起きたときに、どう向き合うのか。
そこにも大きな学びがあります。
明日は、ホームステイの家族とのお別れ
長かったようで、あっという間だったホームステイ。
明日は、いよいよホストファミリーとのお別れです。
バリ島で出会った家族。
一緒に食べたご飯。
交わした言葉。
うまく伝わらなかった時間。
笑ったこと。
地域の文化に触れたこと。
そのすべてが、2人だけの経験として残っていきます。
今回の海外派遣で持ち帰ってほしいものは、お土産だけではありません。
「世界には、自分とは違う暮らしをしている人たちがいる」
そして、
「言葉や文化が違っても、人と人はつながることができる」
という実感です。
ホームステイ最後の夜。
2人には、ここまで迎えてくれたホストファミリーとの時間を、最後まで大切に過ごしてほしいと思います。
そして私は、最後まで2人を無事に沖縄へ連れて帰るために、もう少し頑張ります。
旅は、まだ終わっていません。
追伸|6時間のBGM
私が滞在しているウブドの宿は、お米の田園地帯の中にあります。
部屋の外から聞こえてくるのは、カエルや虫たちの大合唱。
そして部屋の中からは、ヤモリの鳴き声。
時折、蚊も飛んできます。
航空会社とのチャットやホテルの調整を続けた約6時間。
振り返ってみると、その間ずっと流れていたBGMは、そんなウブドの自然の音でした。
ようやくすべての仕事を終えて、外を見ました。
もうすぐ満月を迎える月の明かり。
そして暗闇の中を、蛍が飛んでいました。
6時間、パソコンと向き合い続けたあとに見るその光景は、なんとも言えないものでした。
月の光と蛍が、
「お疲れさま」
と、私の労をねぎらってくれているように感じました。
カエルや虫の声、ヤモリの鳴き声、月明かり、そして蛍。
予定通りにいかないこともたくさんある旅ですが、こんな瞬間に出会えるのも、旅なのかもしれません。
ウブドの静かな夜。
長い一日が、ようやく終わりました。