地震で大きく倒壊したビルの3階の窓辺。 小さな猫の姿が写った一枚の写真から、私たちの闘いは始まりました。

「猫がいる」 「まだ、あの建物の中に取り残されているんじゃないか」 「助けてあげてほしい」

V-CATS JAPANのもとに届いた複数の連絡。
建物は1階部分が押し潰されるほど大きく倒壊していました。
いつさらに崩れるかもわからない危険な場所へ、勝手に入れるわけがありません。 そもそも、この猫は誰の猫なのか、本当に猫はその場所に閉じ込められているのか??不確定な情報ばかりでした。
でも、猫のシルエットの写真がある。窓は全部閉められている。閉じ込められていたら、、といてもたってもいられなくなったのです。
執念で見つけた「家族」と、猛暑の中で生き抜いていた命
まず、最初に行ったのは、この猫さんの「家族」を探すこと。
V-CATS メンバーが建物の登記情報を調べ、とある会社が所有している建物だということが判明しました。
しかし登記に掲載されている電話番号がすでに使われていない。
そして、過去の売買に関わった事業者まで執念でたどっていき、ようやく建物の所有者へたどり着きました。
そして、その方が猫たちの家族だということがわかったのです。
飼い主さんによると、写真に写っていたキジトラの「ヘイヘイ」、
そしてもう1匹の「シーソー」。
2匹が、倒壊したビルの中に取り残されていました。
関係各所と調整を重ね、「緊急災害対策本部」のレスキューチームに同行する形で、ようやく私たちは建物の中へ入ることができたのです。

当時の熊本は40度近い猛暑でした。
崩れ落ちた1階の上に、かろうじて残された2階と3階。 閉ざされた建物の中で、猫たちはどうやって生きていたのか……考えるだけで胸が締め付けられます。
まず私たちがやったのは、「捕まえること」ではありませんでした。
カメラを置き、水を置き、フードを置き、どこから現れるのか、何時ごろ動くのか、どのルートなら安全に誘導できるのかを知ること。 まずは、猫達に、とにかく生きぬいてもらえるよう環境を整えました。
「助けたい」だけでは救えない。だから「猫版DMAT」をつくりたい

「猫がいるなら、すぐ捕獲器を置けばいいのでは?」 そう聞かれることもあります。 でも、災害現場ではそれが一番危険なこともあるのです。
震災直後は動物病院も被災し、保護施設もいっぱいで、安全に預かる場所も少ない。
そんな状況で、目的の猫ではなく別の猫が入ってしまったり、預かる場所がなくてその場で放すしかないという選択肢をしてしまう方もいらっしゃいます。
(V-CATSでは、別猫がはいって地域猫や、お世話をしている方がいる場合をのぞいて放すことはしていません。)
その猫は捕獲器を怖いものと覚えてしまい、次に本当に保護しなければならないときに入ってくれなくなります。
飼い猫で迷子になっていた子だった場合、それに気づかずに放してしまうかもしれない。
猫を助けたいという気持ちはもちろん一番大切ですが、災害現場では「助けたい」だけでは助けられないことがあるのです。
知識が必要です。
経験が必要です。
判断が必要です。
そして、捜索、医療、預かり、そのすべてがつながっていなければいけないのです。
だからこそ、人間の計画に猫を合わせるのではなく、猫の動きに人間が合わせる泥臭い捜索を続けました。
そして地震から1カ月以上が経った9月10日、慎重なタイミングを見極め、シーソーを無事に保護し、家族のもとへ帰すことができました! シーソーが家族の腕に抱かれたとき、「本当によかった」という言葉しかありませんでした。

まだ終わらない。ヘイヘイの捜索を続ける理由
でも、まだ終わっていません。
もう1匹の「ヘイヘイ」が、まだ帰ってきていないのです。
どうやら倒壊したビルの外へ出た可能性があり、私たちは周辺の公園や施設へ捜索範囲を広げ、カメラを設置し、聞き込みを続けています。
カメラにはヘイヘイと思われる姿も確認されています。
生きている可能性があるなら、私たちは絶対に諦めません!
ただし、周辺にはもともと多くの地域猫たちが暮らしています。 むやみに捕獲器を置くことはできないからこそ、新しい餌場をつくり、猫たちの動きを確認しながらピンポイントで保護する方法を探しています。
ビルでは倒壊の危険がさらに進み、重機も入り始めている時間との勝負です。
焦って失敗すればヘイヘイがさらに警戒してしまうかもしれないからこそ、一番助かる可能性が高い方法を選びながら、捜索を続けています。 だからこそ、この捜索を継続するための活動費がどうしても必要なのです。
被災地でシェルターを守るということ。私たちの「覚悟」
さらに、今この瞬間も、V-CATSが熊本被災地に臨時で設立したV-CATS BASEシェルターでは被災者さんたちの大切な猫たちを預かり続けています。
獣医師会などの預かり制度を利用できなかった子たちの受け皿になって、私たちが守っているのです。
被災地でシェルターまで設立して、被災者さんの猫たちをここまで預かっている団体なんて、ほかにどれだけあるでしょうか?
これは、私たちが掲げる「絶対に命を見捨てない」という、私たちの覚悟そのものなのです。 スタッフが交代で熊本に入り、現地で毎日お世話を継続しています。 だからこそ、そのための費用が今も引き続き必要なのです!
奇跡で終わらせない。次の未来を救うために、皆様の力を貸してください
私たちはこの経験から、災害時に専門チームが組織的に動く「猫版DMAT」を、本気で日本につくりたいと思っています。 誰が現場へ行くのか、どこで預かるのか、平時から準備し、連携する仕組みを残さなければならないのです。
今回のシーソーの保護も、奇跡なんかじゃありません。
家族を探した人、登記を調べた人、交渉した人、危険な建物へ入るために調整した人、カメラを置き、フードを運び、計画が崩れても諦めずにもう一度やり直した人たちの、気の遠くなるような積み重ねの結果なんです。
だから、この仕組みを熊本だけのものにしたくありません。 次に日本のどこかで災害が起きたとき、もっと早く、もっとたくさんの命を迷わず助けられるようにしたいのです。
そのためには、被災地へ向かう交通費、車両費、捜索用カメラ、捕獲器、フード、医療費、そして保護した猫たちを預かる場所など、多くの費用が必要です。
「助けたい」という気持ちを、本当に「助けられる力」に変えるために。 どうか、皆様の力を貸してください。
皆さまからいただいたご支援は、次の命を救うカメラになり、捕獲器になり、ガソリンになり、傷ついた猫の治療になり、そしてスタッフが現地で猫たちを守り続ける力になります。 誰かがずっと待っている猫を、家族のもとへ帰す力になるのです。
シーソーに「おかえり」と言えたように。 次は、ヘイヘイにも絶対に言いたい。 そして、次の災害で離れ離れになる猫たちにも、何度でも「おかえり」と言いたいのです。
一緒に、この社会の仕組みを変える第一歩を踏み出しましょうー!
温かいご支援と、このプロジェクトのシェア・拡散を、どうぞよろしくお願いいたします!!
▶ご支援・詳細はこちら https://for-good.net/project/1004270