活動報告⑧ 「ごみの行方から、未来の都市を考える」——中央防波堤埋立処分場を見学しました
8月7日、ウクライナの高校生と教員は、東京都江東区にある中央防波堤埋立処分場を訪れ、東京のごみ処理や資源循環について学びました。
今回参加したのは、東京23区から出るごみがどのように処理され、最終的にどこへ運ばれていくのかを実際の現場で学ぶ見学プログラムです。
環境学習ホールで東京のごみ処理について映像を見ながら学んだ後、バスに乗って埋立処分場へ移動し、不燃ごみや粗大ごみの処理、埋立ての仕組み、資源化や環境保全の取り組みについて説明を受けました。
「日本はごみが少ない」その先を見に行く
日本での生活が始まってから、生徒たちから何度も聞いた言葉の一つが、
「日本の街はとてもきれい」
というものでした。
東京はこれだけ多くの人が暮らす巨大都市であるにもかかわらず、道路にごみがほとんど落ちていないことや、駅や施設が清潔に保たれていることに、生徒たちは来日直後から驚いていました。
しかし、街がきれいに見えるからといって、ごみそのものがなくなっているわけではありません。
家庭や街から回収されたごみは、その後どうなるのでしょうか。
誰が運び、どこで処理され、最後にはどこへ行くのでしょうか。
今回の見学では、日本で3週間生活する中で日常的に目にしてきた「きれいな東京」の、その裏側にある仕組みを実際に見ることができました。
私たちが捨てたごみの「最後」
環境学習ホールでは、東京23区で出たごみがどのような流れで処理されているのかについて学びました。
可燃ごみは焼却され、不燃ごみや粗大ごみも、それぞれの施設で細かく処理されます。
そして、そこで可能な限り資源を回収し、容積を小さくしたうえで、それでも残ったものが最終的に埋立処分場へ運ばれます。
その後、実際にバスで処分場へ向かいました。
広大な土地を目の前にすると、普段はごみ箱に入れた瞬間に自分たちの生活から消えたように感じている「ごみ」が、どこかに必ず存在し続けるのだということを実感します。
ごみを収集する仕組みがあり、処理する施設があり、資源として再利用する技術があり、それでも残ったものを最後に受け入れる場所がある。
私たちが普段当たり前のように暮らしている都市の生活は、こうした多くの仕組みによって支えられていることを学びました。

「分別すれば終わり」ではない
今回の見学で印象的だったことの一つは、埋立処分場として利用できる土地には限りがあるということです。
どれだけ丁寧に分別をしても、どれだけ高度な処理技術があっても、最後まで残る廃棄物をゼロにすることは簡単ではありません。
だからこそ、ごみを正しく処理することだけではなく、
「そもそも、どのようにごみを減らすのか」
「まだ使えるものを、どう資源として循環させるのか」
というところまで考える必要があります。
日本のごみ処理の仕組みを見ながら、生徒たちにとっても、毎日の生活の中で自分たちが出しているごみについて改めて考える機会となりました。
なぜ、ウクライナの高校生がごみ処理を学ぶのか
今回、中央防波堤の見学をプログラムに取り入れたのは、単に日本の環境技術を見てもらうためではありません。
今後、ウクライナが復興していく過程では、住宅や道路、学校などを再建するだけでなく、人々が長く安心して暮らしていくための社会の仕組みそのものを、改めて考えていく必要があります。
その中には、都市計画や交通、エネルギーだけでなく、廃棄物をどのように処理し、資源をどのように循環させ、環境をどのように守っていくのかという課題も含まれています。
もちろん、日本の仕組みをそのままウクライナに持ち帰ればよいわけではありません。
国の大きさも、人口も、制度も、置かれている状況も異なります。
大切なのは、
「日本ではなぜこの仕組みが機能しているのだろう」
「自分たちの国では、どのような仕組みが必要なのだろう」
と、自分たちの社会に置き換えて考えることです。
今回の短期留学では、日本の「良いところ」をただ見てもらうのではなく、実際の社会がどのような仕組みで成り立っているのかを知り、そこから自分たちの国について考えることを大切にしてきました。
中央防波堤での見学も、その一つです。

日本で見たものを、ウクライナの未来を考える材料に
日本に来て、「街がきれいだ」と感じる。
そこから、
「なぜ、きれいなのだろう」
と問いを持つ。
そして、実際にごみが行き着く場所まで足を運び、その背景にある制度や技術、そこで働く人々の存在を知る。
さらに、
「では、ウクライナではどうだろう」
と考えてみる。
こうして一つの経験から問いを広げていくことこそ、今回のプログラムで生徒たちに持ち帰ってほしい学びの一つです。
日本で見たものを「日本はすごかった」という思い出だけで終わらせず、自分たちがこれから暮らしていく社会について考える材料にしてほしいと思っています。
今回の経験が、将来、生徒たちが自分たちの町や国のあり方を考えるときに、ふと思い出す一つの視点となることを願っています。
この貴重な学びの機会への感謝
今回、中央防波堤埋立処分場での見学を通して、東京のごみ処理や環境保全について丁寧にご説明くださった職員の皆様に、心より御礼申し上げます。
普段の生活の中ではなかなか見ることのできない「ごみのその先」を実際に見せていただいたことで、生徒たちは日本の都市を支える仕組みを、より深く知ることができました。
日本での3週間、生徒たちはさまざまな場所を訪れ、多くの方々から学びをいただきました。
一つひとつの経験をウクライナへ持ち帰り、自分たちの社会や未来について考えるための材料としていけるよう、今回の学びもこれから大切にしていきたいと思います。
このたびは、貴重な機会を本当にありがとうございました。
